誰にでも訪れる終末期のQOL(生活の質)を向上し、最期まで自分らしく生きることを支える ―― それが、私たちの考えるホスピスの理念です。
日本財団は、1996年に立ち上げた専門家会議「ホスピス研究会」の提言に基づき、ホスピスケアに関する事業を推進してきました。「ホスピス」という言葉さえあまり知られていなかった中、その考え方を広め従事者を確保するため、様々な活動を行いました。
例えば、認定看護師など専門性の高い看護師の養成、一般啓発のための公開セミナー「memento mori」の開催、日本初の独立型ホスピスや緩和ケア病棟の整備などです
この間、ホスピス・緩和ケアをめぐる状況は大きく変化しました。2007年にがん対策基本法が施行されてからは、緩和ケアが全国に普及し、主に病院で専門的に行われるようになってきました。一方で、半数以上の人々が、最期は住み慣れた場所で迎えたいと願っています。 そこで、自宅や地域での自分らしい終末期を支えることを目的として、2012年に「在宅ホスピスプログラム・アドバイザー会議」を設置し、その提言から今後の取り組みを策定しました。
今、診療報酬の改定などにより在宅医療への参入が急増する中、その質が問われています。特に、看取りまで含めた質の高い在宅ホスピスケアを提供できる人や場所は、充足には程遠いのが現状です。
長年にわたってホスピスの理念に基づく活動を支援してきた私たちは、その理念に根差した在宅ホスピスの実践を支え、普及を促すためのプログラムを実施しています。このプログラムでは、地域のリーダーとなる「人」と「場」を育て、モデルとなるべき在宅ホスピスの提案を目指します。